ささもと こどもクリニック News Letter vol.18 no.5 (2019.5.15)
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【MR5期（風疹の追加的対策）】
昨年(2018)から風疹が流行していて、妊婦さんが風疹に罹患したために、生まれてきた赤ちゃんが障害を持ってしまった例が報告されています。今後報告が増えていくのではないか危惧されます。30歳代後半から50代前半の男性は風疹に対する抗体保有率が低く、この人たちが流行の中心になると考えられています。
そこで、今年(2019)から3年をかけてこの方たちの風疹対策をすることになりました。対象になる方は昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性です。対象の方には市町村からクーポン券が送られてきます。調布市では、昭和47年4月2日から54年4月1日生まれの方には4月中に発送しているそうです。それ以外の対象者の方にも後日発送されますし、初年度にどうしても、と希望される方は、ご自身が申し出れば発行できるそうです。
対象の方は、クーポンをもって市内の実施医療機関を受診してください（もちろん当院でもOKです。調布市以外の方も大丈夫です）。まず血液検査を受けていただきます。その結果風疹の抗体がないと思われる時に、MRワクチンが受けられます。以上はすべて無料です。
さて、血液検査の結果で、風疹の抗体がないわけではないが、低いと思われる場合があります。その場合当院では、調布市の方に限りますが、妊婦もしくは妊娠希望の女性と同居しているのであれば、別の事業（先天性風疹症候群対策事業）の対象となりますので、無料ではありませんが、MRワクチンもしくは風疹ワクチンを受けるのに補助があります。ぜひ多くの方に参加していただき、障害を持って生まれる赤ちゃんをゼロにしてあげたいと思います。
【アレルギーひとくちメモ】
アトピーに10年ぶりの新薬。この新薬はデュピクセントという注射薬です。成人(15歳以上)の重症なアトピー性皮膚炎に使えます。重症というのは、ステロイド軟膏やプロトピック軟膏をしっかり使っているのに症状が抑えきれず、痒みの強いしこり（痒疹結節）や、かきむしってごわごわになった部分（苔癬化）があり、日常生活に影響がでている場合、と考えてください。
アトピー性皮膚炎の悪化には、アレルギー反応による炎症が影響しています。その中で中心的な役割をしているのが、2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)で、それが産生するIL(ｲﾝﾀｰﾛｲｷﾝ)-4とIL-13という物質が炎症を起こして、痒みを誘発します。デュピクセントはこのIL-4,IL-13の働きを直接抑えることで、炎症やかゆみを抑制します。ステロイドやプロトピックが体の免疫システムを広く抑える（そのために内服・注射などの全身投与でなく皮膚のみの外用で使います）のと異なり、炎症に関係する部分だけを抑えるので、有効性や安全性が高いと考えられています。
使用方法は従来の軟膏などの治療を続けた上で、2週間に1回、予防接種と同じように皮下注射で投与します（1回目だけ2本、それ以降は毎回1本）。有効性は高く、早くから痒みが軽快し、投与4か月後で１／３の方が治癒に近い状態になるようです。しかし高価なのが欠点です。薬剤費は、3割負担の方は初回が48,984円、2回目以降が24,492円となります。高額療養費制度を利用していただければ、と思います。なお、デュピクセントは12歳以上の重症な喘息の方も使用できます。
