ささもと こどもクリニック News Letter vol.18 no.12 (2019.12.15)
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【RSウィルスは夏にも流行】
RSウィルスは細気管支炎を引き起こすウィルスで、2歳までにほとんどのお子さんが感染し、複数回感染するお子さんもいます。乳児期早期に感染すると咳や喘鳴で呼吸困難を起こして、重症になる事があるので、注意が必要なウィルスです。とくに早産児や先天性心疾患がある赤ちゃんは、感染すると命にかかわるため、流行する時期には毎月1回シナジスというRSウィルスに対する抗体を筋肉注射して、感染することを防いでいます。
RSウィルスは冬に流行するので、冬の間だけシナジスを注射していたのですが、2017年からは8-9月に流行のピークがみられるようになってきてしまいました。なぜ夏にも流行するようになってしまったのでしょうか？
RSウィルスの流行は気温や湿度と関係があり、世界的にみても温帯地域では秋から冬に流行しますが、熱帯地域や亜熱帯地域では年中流行がみられ、特に雨が多い時期に流行が大きくなります。日本でも沖縄県は亜熱帯に属し、2月から9月に流行があるそうです（そういえば今年(2019)沖縄でインフルエンザが夏に流行していたのも関係があるのかもしれませんね）。
この3年間日本の温帯地域でも夏にRSウィルスが流行した理由については、明らかな原因はまだわかっていません。近年の温暖化の影響で、日本でも場所により気候条件が亜熱帯に近くなって、流行時期が夏にずれてきた可能性もあるそうです。また今年に関しては、ワールドカップの影響で亜熱帯地域からの人の移動が多かったことも関係があるのかもしれません。（参考資料：菖蒲川由剛：小児感染症Q＆A．Up-to-date子どもの感染症vol.7(1)2019）
【アレルギーひとくちメモ】
掃除機は引きがけが効果的。11月13日にNHKの“ガッテン”をみていたら、ダニのアレルギーが取り上げられていました。ハウスダスト中にはパン屑、ペットの毛、糸くず、皮膚のかけらの他に、アレルギーの原因になるダニが多く含まれています。アレルギーを引き起こすのは生きているダニでなく、その糞の中にあるたんぱく質です。
ダニは夏に増えますが、秋になると死にますので、その死骸からそのタンパク質が舞い上がって、鼻炎や喘息などのアレルギー症状が強くでます。ダニを殺すために防ダニスプレーやくん煙剤だけでは死骸を増やすだけなので何の効果もなく、掃除機で死骸や糞を除くことが重要です。
最近の掃除機の吸い込み口には、回転ブラシがついているものが多いようですが、その掃除機の効果的な使い方が説明されていました。押す時より引く時の方にゴミがよく取れるのです（このことは取扱説明書に書いてあるそうです）。ブラシが前回転するので、引きがけの時に、掃除機を引く力とブラシの力が合わさって、ゴミをよくかきだしてくれるそうです。放送では毎日カーペットに掃除機をかけていても良くならなかったお子さんの鼻症状が劇的によくなっていました。カーペットの掃除の方法を変えて１ヶ月後に、ハウスダスト1g中のダニのたんぱく質の量が15.6μgから0.89にまで減っていました（2μg以上だと症状がでやすい）。
なお、フローリングの場合は掃除機を使うと、ダニが舞ってしまうので、モップタイプがいいようです。
