ささもと こどもクリニック News Letter vol.19 no.9 (2020.9.15)
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【不登校の影に潜む睡眠障害】
不登校の原因として、友達や先生との対人関係、授業が分からない、といったことより、朝起きられない、疲れる、学校に行こうとすると体調が悪くなる、という理由の方が多いようです。これらは睡眠障害が関係していると思われます。長い通学時間、朝練、夜遅くまでの塾などが、睡眠不足を引き起こしているようです。またゲームやSNSなどが睡眠不足の理由になっている場合もお多いようです。
対応法としてまず、睡眠は学習、意欲、などの脳機能だけでなく、ホルモン分泌、自律神経、免疫にも影響があるので重要だ、ということを教えるようにします。スマホのブルーライトによる睡眠への影響も教えておかなければなりません。そして、お子さんとの話し合いで、実現可能な就床時刻を、午前0時を超えない範囲で子供に決めてもらいます。決まったらその2時間前までに食事、入浴、オンラインゲームやSNSを含むICTの使用を終了するよう家族の協力を得ながら努力していきます。睡眠覚醒リズムの改善には、しっかり起きること、そのためには朝の光が重要であるため、起床後はカーテンを開けます。すると体内でセロトニンが合成され、活動的になります。セロトニン合成は、夜にメラトニンの合成につながり、眠りやすくなります。日中は規則正しい食事を心がけ、カフェインは16時までとします。
このような指導だけで改善することも多いようです。努力しても改善の見られない場合は薬物療法も考慮します。入眠困難がある場合は、メラトニンが有用だそうです。今まで日本では医薬品として存在していなかったので、海外のサプリをネットで購入して使っていましたが、2020年3月から保険診療として処方できるようになりました。半減期も2-3時間なので、入眠に効果があり、翌日には残らないのが利点で、20時くらいに飲むのがいいようです。睡眠不足が少しでも改善すればいいですね。（参考資料。中井昭夫。不登校の影に潜む子どもの睡眠障害。外来小児科23(2)P.205-209,2020）
【アレルギーひとくちメモ】
アトピー性皮膚炎の治療薬として新しい軟膏が発売されました。コレクチム軟膏です。有効成分はデルゴシチニブといいます。その作用は細胞の中にあるヤヌスキナーゼ(JAK)の作用を抑えることです。JAKはアレルギー反応に関係するIL4,13,31が細胞に結合すると活性化します。すると免疫細胞や炎症細胞が活発になり、皮膚炎が誘発されます。つまりコレクチム軟膏をぬるとIL4,13,31の作用が抑えられるということです。その結果、IL4や13はC-ﾌｧｲﾊﾞｰという痒みに関係する神経線維に作用していますので、かゆみが減ります。また皮膚からの水分ロスも減ります。
アトピー性皮膚炎では1日2回4週間での使用で、60%の方が満足しています。ステロイドのような副反応もありません。プロトピック軟膏のような皮膚の刺激感もないようです。1日10gまで使用できます。金額は3割負担の方で1本(10g)が約200円です。ただ現時点では16歳以上の方が対象です。
