ささもと こどもクリニック News Letter vol.19 no.12 (2020.12.15)
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【鵞口瘡（口腔カンジダ症）】
赤ちゃんの口の中に白いものができたために受診される方がいます。その原因として、ミルクかす、もしくは鵞口瘡が考えられます。母乳やミルクを飲んだ後には、少しだけ舌や口腔粘膜に残渣が付きます。よだれなどで洗い流されればいいのですが、洗い流されないとその上にまた残渣が蓄積して、だんだん白く見えるようになってきます。これがミルクかすです。
一方、鵞口瘡はカンジダという真菌（カビ）による感染症です。出生の時に産道でカンジダに感染した場合におこるもので、生まれてから数日して発症します。しかし新生児の時期を過ぎても、乳首、哺乳瓶、お母さんの手などを介してカンジダが感染することがあります。ですからカンジダは正常でもある程度は存在しています。ただ体調が悪くなった時、また風邪や中耳炎で抗生剤を使って、常在菌が減ってしまったときに代わりにカンジダが増えてしまって、鵞口瘡になるようです。口腔粘膜や舌表面に白い苔のようなものが点々と生じ、時には融合して大きくなります。舌の表面に隆起していることもあります。ミルクかすは、濡らしたガーゼでこするととれてしまいますが、鵞口瘡の場合はとれません。強くこすって無理にとろうとすると出血します。
鵞口瘡の程度が強い場合、痛みのために哺乳量が減ってくることもありますが、多くの場合哺乳は普通にしています。軽度の場合は特に治療しなくても大丈夫ですが、痛みがありそうな場合は治療します。抗真菌剤を塗ってあげることで、１−２週間で治癒することが多いです。
【アレルギーひとくちメモ】
ヤマイモアレルギー。ヤマイモは日本、朝鮮、中国などで採れます。饅頭など和菓子の材料、お好み焼きにも利用されています。ジャガイモなどと異なり、ヤマイモのでんぷんは生食可能なので、すりおろして“とろろ”として食べられています。
ヤマイモを食べた後に、喉の違和感、蕁麻疹、目の充血、嘔吐が見られたり、食べた後に運動して呼吸困難まで至る例もあります。即時型アレルギー全国モニタリング調査で、食物アナフィラキシーの原因がヤマイモであった例もわずかではありますが、報告があります。ただヤマイモにはアセチルコリンという仮性アレルゲンが含まれています。仮性アレルゲンは大量に摂取すると、食物アレルギーと似た症状をおこします。
ヤマイモを食べて口の痒みを訴えたり、ヤマイモに触れ皮膚の痒みを訴えたりする例は比較的多くみられますが、仮性アレルゲンが関与していることが多いと考えられ、すべてがヤマイモの食物アレルギーということはありません。ですから安易な除去ではなく、ヤマイモ特異的IgEを測定し、食物アレルギーかどうかを見極めることが大切です。
