ささもと こどもクリニック News Letter vol.22 no.10 (2022.11.15)
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【歯ブラシ外傷】
子どもは口の中に物を入れて遊ぶことが多いため、口腔内での外傷が発生することがあります。その中で、歯ブラシが原因である割合は、欧米と比較すると日本は約10倍のようです。
成育医療センターの最近2年半のデータによると、49人の歯ブラシ外傷の受診者がいたようです。年齢は1歳が全体の半数近くで最も多く、また受傷の大部分が保護者の目の届かないところで発生していました。そして約90％の方が受傷後1日以内に受診していました。その後膿瘍を形成したのが5例（約10％）で、3例は膿瘍を切開する手術を受けたそうです。著者は欧米で歯ブラシ外傷が少ない理由として、アメリカでは、子どもの口腔内環境を適切に保てないことは虐待やネグレクトとみなされること、そして歯科治療は高額であることが、家庭での歯ブラシを親がより主体的に行っていることにつながっていると考えています。
ですから、保護者の目の届かないところでの歯磨きはやめ、付き添ってあげていただきたいです。また通常タイプの歯ブラシでなく、安全に配慮された歯ブラシを使っていただければ、と思います。また受傷直後の受診時では、所見が乏しいか軽度であることも多いために、適切な診断や重症化の予測は困難で、その後何らかの症状がでるまで、数時間から2日程度かかるようです。そのため受傷後の経過観察は必要であり、発熱や頸部の腫脹などの病状変化時には速やかに受診すべきとしています。小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では注意してください。（参考。安齋豪人他。日本小児科学会雑誌126(10)。2022）
【アレルギーひとくちメモ】
小児喘息にダニ免疫療法は有用？これは小児気管支喘息のガイドライン（GL）2020からの引用です。ダニの免疫療法は皮下注射によるもの(SCIT)と、舌下免疫療法(SLIT)があります。SCITでは呼吸機能の改善は乏しかったようですが、喘息症状、頓用薬の使用、ステロイド使用量などを改善しました。またSLITでは、頓用薬の使用、ステロイド使用量などは変わらなかったようですが、喘息症状と呼吸機能は改善しました。以上よりGLは、ダニ免疫療法には、小児喘息に対する治療効果が期待でき、十分な注意を払ったうえで（SCITでは死亡例を含む副反応の報告もありますので）、ダニに感作された小児喘息に対する長期管理における標準治療の一つとすることを提案する、としています。
ただ、SCITは5歳以上の喘息に保険適用がありますが、SLITは、ダニによるアレルギー性鼻炎には保険適用があるものの、喘息には適用がありません。早く喘息への適用が認められることを期待したいものです。
