ささもと こどもクリニック News Letter vol.23 no.4 (2023.4.15)
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【免疫不全かな？】
“うちの子は毎月風邪をひいて熱が出るのですが、免疫が弱いのでしょうか？”という声を聞きます。小さい子は保育園などで風邪をうつしあうことが多いので心配ないと思いますが、ではどういう場合に、免疫不全が疑われるのでしょうか。免疫不全症を疑う10の徴候が1993年に示されて、現在でも用いられているようなのでご紹介します。
それらは、①乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良がある。②1年に2回以上肺炎になる。③重症副鼻腔炎を繰り返す。④1年に4回以上中耳炎にかかる。⑤気管支拡張症（原因不明の疾患、気管支が拡張してしまい、拡張した部分に細菌やカビの感染が起きる）を発症する。⑥2回以上、髄膜炎や敗血症など重い感染症にかかる。⑦抗生剤服用しても2か月以上感染症が治癒しない。⑧1歳以降に持続する鵞口瘡、皮膚真菌症、また重度・広範なイボ（ウィルス感染）。⑨BCGによる重い副反応、ヘルペスによる脳炎など、まれな感染症に罹患。⑩家族歴として幼児期に感染症で死亡した人がいる、です。
そのうち１つでもある方は精密検査が必要と言われていますが、どれにも該当しなければ、まず心配はいらないと思います。保育園で毎月風邪をもらって欠席が多いお子さんも、その度に免疫がつき、2年後にはほとんど休まなくなります。
【アレルギーひとくちメモ】
舌下免疫いつまで。スギの舌下免疫療法は3年から5年継続することが勧められています。シダキュアが発売されてから4年半経ちました。またそれ以前には液体タイプのシダトレンも使われていましたので、舌下免疫療法を始めてから3年を経過した方も見られるようになりました。その方々から、“もう舌下を終了してもいいのかどうか”と相談されます。
もちろん3年経ったので終了にしてもいいのですが、私はあと2年続けるのがいいのかな、と思っています。文献を見ると、注射薬で行ったスギ舌下免疫療法では、治療年数が増すに従い症状が軽くなり、3年で終了した方より、4年以上継続した方が経過良好であった、との報告もあります。また海外の報告ですが、ハウスダストの舌下でも、4年行った方がいい、との報告がありました。なお、当院でも舌下3年で終了した方の中に、終了した次のシーズンは大丈夫だったのに、その次のシーズンで症状がでてしまった、という方もいらっしゃいます。さらにアレルギー学会で講演した先生も、5年続けることを強く推奨していました。ですから再発を防ぐためにも5年行ってみるとよいと思います。（参考文献：アレルギー59：1552-1561,2010、J
Allergy Clin Immunol 126: 969-75,2010）
