ささもと こどもクリニック News Letter vol.5 no.9 (2006.9.15)
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【女児の乳房が大きいことについて】
思春期がきていない女の子の乳房が大きくなった場合、それが生理的な早発乳房（異常なし）なのか、病的な可能性がある思春期早発症なのかを区別する必要があります。
本来、思春期になると脳の視床下部という部分から性腺刺激ホルモン放出ホルモン（LHRH）が活発に分泌され、その作用によりエストラジオール(E2)という性ホルモンが分泌され、乳房腫大がおきます。3歳頃までは、このE2があるため、乳房腫大が起こりえますが（早発乳房）、E2は大量ではないため、乳房腫大以外の思春期の症状（陰毛の出現、身長のスパート、生理）はみられません。3歳以上の年齢で乳房が大きくなった場合、思春期早発症の可能性がでてきます。ただし現在の日本人の乳房腫大開始年齢は9-10歳といわれていますので、この年齢以後の方は思春期早発症と考えず、心配しなくてもよいでしょう。
その間の年齢、つまり3-9歳の方は、観察は必要だと思われます。なぜなら思春期早発症を放置しておくと、最終到達身長が低く終わってしまうからです。乳房腫大以外の症状がある方は検査が必要です。特に5-6歳未満の方は、病的な思春期早発症の可能性があり、きちんと経過を観察し、性ホルモンのチェックや性ホルモンを多く産生するような腫瘍がないかどうかを検査する必要があるのでは、と思います。
6-7歳くらいの子は、病的でない思春期早発症の可能性が高いと思いますが、それでも腫大の程度や身長、また他の症状の出現の有無につき経過を観察する必要はあるものと思います。
【アレルギーひとくちメモ】
乳児期早期の湿疹について。生後３ヶ月未満で湿疹があって、うちの子はアトピーでしょうか？とご相談されるお母さんもいらっしゃいます。乳児期早期にみられる皮膚のトラブルとして多いのは、新生児のにきび、脂漏性湿疹（頭、髪のはえぎわ、まゆ毛に多く見られ、全体に赤くなり、その上に黄色調を帯びた厚いかわが付着しています）、おむつかぶれなどがあります。この中で脂漏性湿疹の赤ちゃんの一部は、経過をみていくと次第に口の周り、そして首に湿疹が広がり、かゆみも目だってきて、アトピー性皮膚炎らしくなってしまうことがあります。
何らかの湿疹がある方で、以下にあげる6項目の中で４点以上ならアレルギーの関与が濃厚と考えてご相談下さい（なお2点以下なら様子をみて大丈夫と思いますし、3点の方はご心配なら相談して下さい）。①横に寝かせた時に体や頭を掻いている、②全身（特に下半身）に湿疹が広がっている、③湿疹に厚みをもっている、④兄弟や両親のいずれかにアレルギー疾患（アトピー性皮膚炎、喘息、スギ花粉症など）がある（または、あった）。⑤関節の屈曲部に湿疹があったり、耳の下が切れたことがある。⑥食事をとった後に湿疹がひどくなったことがある。
